2017年4月27日木曜日

静嘉堂文庫美術館「挿絵本の楽しみ」3


「僕の一点」は、『<天明新鐫五十人一首>吾妻曲狂歌文庫』です。「てんめいしんせんごじゅうにんいっしゅ あづまぶりきょうかぶんこ」と読みます。宿屋飯盛こと石川雅望が編者となり、北尾政演こと山東京伝が挿絵を担当、天明6年(1786)、蔦重こと蔦屋重三郎から出版された狂歌絵本です。四方赤良こと大田南畝率いる四方連を中心とした50人の狂歌師が選ばれ、各々の肖像画にその狂歌一首が添えられています。

狂歌五十人一首や狂歌百人一首は人気を集めたらしく、たくさん出版されたようですが、この『吾妻曲狂歌文庫』は、狂歌の黄金時代ともいうべき天明年間に出版された一本として、すばらしい出来映えを誇っています。選者、絵師、版元の三者がみなトップクラス、しかもそれが三位一体となっています。豊かな気分に満ちる天明ぶり狂歌の真骨頂ここにありといった感に打たれます。

0 件のコメント:

コメントを投稿

注: コメントを投稿できるのは、このブログのメンバーだけです。

静嘉堂文庫美術館「珠玉の香合・香炉展」7

 酒井家は幕藩体制のなかにあって、政治的権力をふるっただけじゃありませんでした。代々酒井家には、文雅を愛するDNAが流れていました。例えば、抱一のお祖父さんにあたる忠恭も、お父さんの忠仰も、学問や芸術を愛して止みませんでした。その典型こそ宗雅で、諸芸にすぐれた才能を発揮し...