2017年6月17日土曜日

静嘉堂文庫美術館「珠玉の香合・香炉展」2


お香は仏教と深く結びついていました。仏教において、お香は不浄を払い、心身を清めるアイテムだったからです。我が国でも、「焼香」「香華を手向ける」「抹香臭い」といえば、その行為や状況だけでなく、お葬式やほとけ様、あるいはお寺を、つまり仏教に関係することを、みんな思い浮かべるにちがいありません。

私見によれば、荼毘――火葬も焚香と無関係ではありません。お釈迦さんを荼毘に付すとき、白檀を燃やしたからです。おそらく、その他の木に白檀を混ぜて燃したのだろうと思いますが、白檀という最高の香木を燃したのです。香を焚いて火葬にしたといっても過言ではありません。

その後、白檀を使った仏像が生まれました。これを檀像と呼ぶのですが、白檀という香木が仏教と深く結びついていた結果にほかなりません。もちろん、白檀がほとんど白色に近くて美しく、硬いので細かい彫刻が可能であり、また強い芳香のために虫に食われないという、材質としてのすぐれたメリットがあったからです。

しかし、白檀をもって荼毘に付されたというお釈迦さんの記憶を、白檀自体がもっていたのではないでしょうか。そのお釈迦さんを継ぐお弟子さんたちが、白檀をもって心身を清めたという歴史が忘却されることは、決してなかったのです。だからこそ、ヒノキやカヤを用いた檀像様彫刻が生まれることにもなったのでしょう。

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