2017年8月25日金曜日

赤須孝之『伊藤若冲製動植綵絵研究』1


赤須孝之『伊藤若冲製動植綵絵研究 描かれた形態の相似性と非合同性について』
                                                        (誠文堂新光社 2017年)

 今や世界的人気スター画家・伊藤若冲に焦点を合わせた、すごくおもしろいオススメ本が出ました!! 著者の赤須孝之さんは大腸ガンの権威、200107年の大腸ガン患者手術執刀数は日本一だったそうです。当然、赤須先生とお呼びすべきところですが、「饒舌館長」の「幽明界を異にされた方のみ先生と呼び、お元気な方はすべて<さん>づけとする」というルールに従って、赤須さんとお呼びすることにしますね。

「目から鱗が落ちる」とは、こういうことをいうのでしょう。科学者が若冲畢生の傑作「動植綵絵」を取り上げて、それを科学的に、客観的に、しかも徹底的に分析した本なんです。パラパラとページを繰れば、並みの美術本じゃないことはすぐに了解されます。

しかしページなんか繰らなくたって、表紙を見ただけで即わかります。『伊藤若冲<製>動植綵絵研究』なんです!! 美術史研究者だったら、絶対「伊藤若冲<筆>」というところでしょう。若冲が製作した作品であって、筆写したものでも制作したものでもないという科学者の即物的なものの見方が、まず何よりも本のタイトルに現われているのです。この<製>に、この本のおもしろさが象徴されています。

0 件のコメント:

コメントを投稿

注: コメントを投稿できるのは、このブログのメンバーだけです。

横浜美術館「石内都展」と山口百恵2

坂道も、草原も、ドブ板横丁も、米軍に入りこまれたことによって仕方なく変らざるを得なかったあの街の、独特の雰囲気が、その写真の中では、陰となって表わされていた。哀しかった。恐怖さえ抱いた。 同じ街が見る側の意識ひとつでこんなにも違う。私の知っている横須賀は、これほどまで...