2017年9月20日水曜日

東京都美術館「ボストン美術館の至宝展」6



 宗珉は今でいうところの潔癖症で、一流のちゃんとしたものしか絶対口にしませんでした。あるとき一蝶は、近所のお菓子屋で売っている麁品の餅――これまた今の言葉でいえば激安粗悪食品というところでしょうか、そんな餅を出して自分が食べたあと、君も一つ食えよと勧めました。


宗珉がやむを得ず、我慢しつつ飲み込むようにして食べるのを見て、一蝶はクスクスニヤニヤ……。そんなことをやって、潔癖症の宗珉をからかったそうです。絶海の孤島ともいうべき三宅島で10年以上も暮した一蝶にとって、マイソフォビアなんてチャンチャラおかしかったのでしょう。


その後「仏涅槃図」はボストン美術館で修理が施され、見違えるようにきれいになりました。僕も18年ぶりに見て、驚かずにはいられませんでした。また軸木から、正徳三年初春という墨書銘が見つかったことも、うれしいニュースでした。


展覧会カタログには、この修復事業の報告と、神戸市立博物館の石沢俊さんによる新知見が載っていますので、ぜひ一読をお勧めしたいと思います。できたら僕の『國華』拙論も一緒にね(笑)
 

0 件のコメント:

コメントを投稿

渡辺浩『日本思想史と現在』5

その先は本書をお読みいただきたいと思いますが、このような大問題を論じながら、得もいわれぬユーモアを感じさせるところがすごい !!  我々が「みずほびと」になったら、「日本銀行」は「みずほ銀行」となって大混乱に陥る――真面目な渡辺浩さんが真顔でおっしゃるから可笑しいんです。これは新...