2017年11月25日土曜日

細見美術館「末法/APOCALYPSE」4


四季の柳を描く。右隻春夏、左隻秋冬なり。右隻は樹の背後に盛上げの柴垣あり。春柳の垂下するさま、夏柳の風になびくさまがすばらしい。左隻は秋柳――長い葉を垂らしている。冬柳――少し雪を被る。葉を打ち落としているが、ごく一部に青い葉が残る。三宝院を思い出させる。左隻にも柴垣あり。左右隻とも胡粉で雲を表わす。ちょうつがいのところを少し切りつめてあるようだ。柳の幹は水墨風なり。出光美術館本、大日本インキ本屏風の筆致を思い出させる。夏、秋の葉は緑青のほか、モスグリーンの葉を混ぜる。葉の表と裏を描き分けたもののごとし。三宝院も同じだったように思う。春柳の枝がすっと左の方へ伸びるところ、牧谿の松を思わしむ。金地の調子も大変よい。五紙継。

    箱蓋表 長谷川等伯筆柳図屏風
      裏 昭和廿六年六月十七日 土居次義鑑

表の字も土居先生だろうが、少し裏と異なるようにも見ゆ。等伯の傑作として『國華』に登載すべし。


0 件のコメント:

コメントを投稿

ブータン博士花見会4

  とくによく知られているのは「太白」里帰りの物語です。日本では絶滅していた幻のサクラ「太白」の穂木 ほぎ ――接木するための小枝を、イングラムは失敗を何度も重ねながら、ついにわが国へ送り届けてくれたのです。 しかし戦後、ふたたび「染井吉野植栽バブル」が起こりました。全国の自...