このとき、「歌川国貞展」の講演をお願いしたところ快諾をいただき、当日を迎えたというわけです。葛飾北斎をはじめとするこの時代の浮世絵師は、みな濃密な人間的交流によって結ばれる一つの文化圏のなかに生きており、それが彼らのすぐれた芸術を生み出す原動力になっているのだという結論は、まさに目からウロコでした。
お話のあと、僕も壇上に引っ張り出されて、トークショーとは相成りました。20分ほどでたしたが、実におもしろく、いつか機会があったら、もうちょっとゆっくりお話がしたいなぁという気持ちを、拭うことができませんでした。
僕も至文堂版「日本の美術」シリーズの1冊として、『北斎と葛飾派』を担当したことがあります。このときも北斎を孤高の天才とみる浪漫主義的見方に毒されていたことを、ロバートさんのお話によって改めて思い知らされました。
もっとも、北斎と曲亭馬琴との関係については、ちょっとキャンベル史観と通い合うような視点から、駄文を草したことがあります。皆さんにぜひ読んでほしいとお願いしたいところですが、ちょっとビビッてしまいます。なぜなら、それはハングルで発表されているからです(!?)
*当然「ロバート・キャンベル先生」とお呼びすべきところですが、幽明境を異にされた方のみ先生とし、お元気な方は「さん」づけとするという「饒舌館長」のルールにしたがったことを、お許しくださいませ。
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