2018年4月16日月曜日

東京国立博物館「名作誕生」日本美術鑑賞への誘い2


『朝日新聞』の石山直さんからは、鑑賞法も必ず語ってほしいという要望が寄せられたのですが、美術に正しい鑑賞法や決まった観賞法など存在しないというというのが持論ですので、ちょっとこまってしまいました。

 この「名作誕生」展は、基本的にパノフスキーが唱えたイコノロジー(図像解釈学)という方法によって組み立てられています。それまでの様式論に対して提出された革命的方法で、形態を中心に主題や意味内容を文化史的観点から考察しようとするのです。現在、人文科学の中で美術史学がもっとも人気があるようにみえますが、これもイコノロジーの発展と密接に結ばれていると思います。

もっとも、イコノロジーに対しては早くから批判が寄せられ、ゴンブリッジはその限界をやわらかに指摘しました。先日、大高保二郎さんに聞いたところでは、フランスのディディ・ユベルマンという研究者も強い批判者だそうです。「当たるも八卦当たらぬも八卦」だなどと茶化す人もいます。しかし、イコノロジーは現在王道ともいうべき美術史研究法だというだけでなく、ふたたび様式研究が主流になることはないでしょう。

0 件のコメント:

コメントを投稿

注: コメントを投稿できるのは、このブログのメンバーだけです。

横浜美術館「ヌード」6

すでに紹介した渡辺京二さんは、名著『逝きし世の面影』の「裸体と性」の章において、そんな状況をよく伝えています。幕末の外国人観察者を驚かせたのは、春画・春本のはばかりなき横行でした。それはどこの店でも堂々と売られ、若い女性が何の嫌悪すべきこともないように買い求めていました。...